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寸法精度の概念 銘板屋は中途半端(笑)

最近、寸法精度を考える機会が多く、良い勉強をさせてもらっています。

銘板屋が取り扱っている銘板という金属のプレート、樹脂製(塩ビ、アクリル、PETやPC)のプレートやパネル、またシールの寸法精度はそこまで要求されることは少ないです。±0.2くらいが一般的で、それより大きい公差も多いです。検査する対象も、寸法というよりか記載内容の印字品質、もしくは誤記が無いかどうか、こちらの方が検査では重要視されます。

ただ、お客様で図面を書く方は加工品の図面を書く方と同じケースが多く、たまに、銘板ではありえない寸法公差が入っています。±0.05など。こんな精度は出ないでしょ!とずっと考えていたのですが、先日、ワイヤーカットなど加工品を主業とされる方とお話したところ、それは特に驚きませんと。なるほど、そういう訳です。加工品と同じ考えで図面を書くのであれば、図面を書く方は普通に書いてしまうものなのですね。

銘板の外形カット、特に小ロット品などは金型を使わずに、シャーリングでカットします。また、穴あけも目で見てパンチであけます。手加工です。なので、穴ピッチ±0.1などと図面に書いてあると、ビビッてしまうのです(笑)金型で抜いたり、NC加工機で加工するのであれば、プログラムすれば問題は無いはずで、ロットでばらつきはありません。ただ、銘板の加工は手作業が多いので、ロット内でもバラつきは出ます。

そこまで要求されるのであれば、小ロットでも金型を作ったり、もしくは加工機で加工する必要があり、それは価格に反映されてしまいます。ただ、銘板は機能を左右する部品ではありませんので、相場の価格も低いのです。なので、寸法は甘く見てもらわないと厳しい・・・(笑)

その辺りの話合いは、特に相手が大手さんの場合は慎重に行わないといけません。つまり、それは無理です!って最初からきちんと伝えることです。出来れば図面に反映して頂く。検査装置の技術の高度化、また、品質管理はどこのお客さんも厳しくなっていますので、「図面に書いてあります」と言われればそれまでなのです。

銘板屋の技術は広く浅くの世界です。印刷屋さんと加工屋さんの真ん中くらいで、寸法精度で見るととても中途半端な立ち位置です(笑)百分代、千分代の寸法をあっという間に計測してしまう検査装置があれば計測は楽に出来るのですが、数百万・・・。そこまで厳しい製品は無いので、費用対効果を考えますと、導入は難しいです。

ただ、最近はこの寸法精度ももっと丁寧に考えていかなくてはと、少し考えが変わりました。もちろん、今までも図面寸法は厳守していますが、もっと記載寸法に近づける努力。それは出来ません!で終わるのではなく、機械のクセを考慮に入れたデータ作成をする、手加工でも出来るだけ記載寸法に近づけるなど。細かいところに気を配ることが品質の向上に繋がります。銘板だからで終わるのではなく、一歩踏み込んだ気遣いです。