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中小企業の再編について①

菅さんが総理大臣になって、最近よく話題になりますね、中小企業の再編について。日本にある会社の90%以上が中小企業で、その中小企業の生産性アップこそ、国力のアップに繋がる、そんな議論かと思います。はい、私も賛成です。

ただ、このコロナもあって、無理やり再編しなくても、廃業する会社が非常に多いのではないでしょうか。特に経営者が高齢ですと、事業を続けるモチベーションが歳とともに消えていってしまう。生活に余裕のある経営者であれば尚更でしょう。頑張る理由がありません。

再編というより、私が怖いのは、必要な技術を持つ中小企業まで廃業してしまい、今まで作れたものが作れなくなることです。これ、製造業にいると本当に思います。結構、ヤバイと思います。

以前はサプライヤー過多で価格破壊が起きていましたが、リーマンショックもあって廃業が続出。今の状況はどちらかと言うと、加工できる会社を探している状態で、困っている会社、大企業も含めて本当に多いと思います。

なんで廃業するか?それは儲からないからです。儲からないから子供に継がせるわけにもいかず、息子さんいる会社でも廃業するところが多い。この収益構造を変えないかぎり、中小企業の底上げは出来ないと思います。

たくさんある中小企業を集約して生産効率を上げて競争力をつける。はい、よく分かる論理です。でも、問題はそこなのかなぁって。大体中小企業は大企業の下請けです。もう少しでも、価格面で協力してもらい利益を残すことができれば、もう少し長い目で下請けと付き合ってもらえば、財務的な基盤が下請けにもできるのでは、と思ってしまいました。

よく言う安い仕事は、親会社が強要したものではありません。どちらかというと下請けが仕事欲しいがために下げたものだと私は思っています。見積書出すのは下請け会社ですからね。私たちの責任でもあるんですよね。それもよく分かる。昭和時代の大量生産の価格が未だ残ってしまって、少量発注でも同じ価格なんてまだまだあります。高すぎるのも問題ですけど、「安くして仕事を取る」は麻薬と一緒で、止められなくなっちゃうんです。

だから、政府主導で再編を行う訳ではなく、自然とサプライヤーが減る中で価格面も少しわがまま利いてもらい、少しでも財務的に余裕を作ることも必要かと思います。それが未来の投資の原資になり、本当の意味での生産性アップを自社でする余裕が出るんではないかなと。

つまり、中小企業の再編とは数合わせで企業を集約して減らすわけではなく、発注元の親会社(=大企業)の協力も必要なのではないでしょうか。数だけ合わすために再編有りきで議論が進めば、せっかく培ってきた技術も無くなってしまうかもしれない。最新の設備、オンリーワンの技術、日本が誇る技術力はそこだけではないのです。結構当たり前の技術を、丁寧に気を配ってきれいに仕上げるとか、その品質を毎回安定させるとか、そういうところがリアルに役立っているところです。そこって、Made in Japanクオリティを維持するには結構重要なポイントです。

あと、中小企業は家族の関係とか、親族の関係とか、借り入れの個人保証とか、実は経営者の個人的なつながりや財産とも密接な関係がある。これは無視できません。そのあたりのしがらみもうまく解決していかなくてはいけないんですよね。結構難しい問題です。でも、そこに目を付けた菅首相、パフォーマンスではなく、リアルな経済実体にメスを入れる重要な論点だと思います。今後も、この話題には触れていきたいです。