映画「マネー・ショート」 リーマンショックの金融危機
週末、久しぶりに映画を見ました。「マネー・ショート」(英語だと The Big Short)という映画です。
2007年頃、リーマンショックが起きた際の金融危機のきっかけ、サブプライム問題の真相です。投資では空売りと言って、先に証券を売る契約をして、後から買うという、なんとも難解な投資の方法です。つまり、値が下がれば、大儲けです。高い金額で売る契約をしておいて、後で、値下がりした証券を買う訳ですから。
この映画は、崩壊するはずがないと思われていた不動産投資の大暴落を予想して、空売りで大儲けした人たちの話です。リーマンショックの際の金融危機はサブプライムローンという証券が問題となりましたが、そのサブプライムは不動産投資に関する証券です。
「証券化」っていう手法は、近年よく使われる投資の世界の用語です。リーマンショックの前に流行った不動産投資の商品、みんなのローンが一括りにされ、売り買いできるという仕組みです。家を買う時、売り主は決まっているのですが、その売り主に対するローン、そのローンの権利を売ったり買ったりできるのです。そのローンの塊の中身が問題だったのです。きちんと払ってくれる人と、収入が少なくて払えない人のローンも混ぜてしまった。確率の計算上の問題で、問題のあるローンのリスクが隠れてしまい、本当の価値なんて誰も分からなかった。でも、その中で、不動産市場は全体に崩壊しないっていう迷信のもと、投資が投資を呼んでとんでもない金額になってしまったのです。それ以外の要因、CDOとかCDSとか、あるのですが、難解すぎるのでここでは説明はやめます。私も完全に理解しておりませんので。
証券化は金融商品として一般的なものですが、あまりに混ぜてしまうと、真のリスクが見えなくなってしまいます。しかも、サブプライムの時のローンの審査は不正が横行して、家が持てるという、特に貧しい人には夢みたいな話を持ち掛け、返済能力を考えずにどんどん増やしていきました。投資家たちの強欲さから膨大に膨れ上がっていきました。そんなリスク満載の商品を、大手の金融機関がこぞって持っていました。
で、サブプライム問題が表面化して、不動産市場が崩壊。大手の金融機関が天文学的な損失を出し、ベアースタンやリーマンブラザーズという超大手の金融機関が倒産。そうなると、金融市場全体が信用不安になり、一気にお金の動きが鈍くなる。資金の引き上げも横行する。そうなると、自分たち強欲さのせいで出した損失のために、何の責任のない人たちが家から追い出され、中小企業も資金を引き上げられ、倒産が爆発的に増えたのです。リーマンショックでは完全に金融市場の暴走が最悪の結末を生み出したわけです。
今の金融市場の好況さは、リーマンショックの時とは違います、、が、バブルは必ずはじけるのは歴史からみて間違いない。今の金融市場の好調さは、世界中での金融緩和が要因です。行き場を失ったお金は、金融市場に流れます。お金でお金に投資する。で、儲けが出るのは、やはり一握りの裕福な人たちです。実体経済に落っこちてはこないのです。リーマンショックの時など、これ以上金融機関を潰せないと公的資金で救済されました。で、その公的資金から、大手金融機関のトップたちはボーナスをもらっていたんです。冷静に考えると、とんでもないことです。
これが、今の資本主義の姿なんですね、残念ながら。これが良いのか悪いのか?自分は勝ち組・負け組、どっちに属しているのか。一概には言えません。コロナが落ち着いて、各国が金融政策を引き締めに向かう時、何が起こるのか?市場対国家の世界では、市場に向かって毅然とモノを言える政治家はいるのだろうかと思ってしまいます。一部の人が、一部の人だけに有利に働くようなルールを勝手に決めて、その通り、裕福になる。残念ながら、これができちゃうのが、今の資本主義の仕組みです。
そんな資本主義を引っ張るアメリカ、バイデンさんはどう舵取りするのだろうか。民主党として、今後どういう政策を出してくるのか、私は興味あります。