カテゴリー

歴史は繰り返すのか?

以前、世界の経済史を学んだことがあります。私が学生時代受けた授業で一番印象に残っている授業、大学院時代のInternational Economic History @ Geoge Washington University。近代の世界経済の歴史です。

世界経済は、国際化・グローバル化と、いわゆる鎖国化・ブロック経済化を繰り返しており、その狭間に世界大戦があります。第一次世界大戦・第二次世界大戦がそれにあたります。

経済学には貿易論という領域があり、なぜ、世界の国々は他国と貿易をするのか?その理由は、自国ですべて賄うより、他国の方が安くて良いものが作れるのであれば、それを他国で作ってもらって貿易した方が、国の富は増えるという理屈です。最初はモノの貿易だけでしたけど、国際化の流れの中に労働力やお金の移動も含まれるようになり、現在の超グローバル化につながっているのです。

他国から安い製品や労働力が入ってくれば国の富は増えますが、その中で自国で損を被る人達がいる。その人たち声が大きくなり、政治的に主導する立場になれば、国際化・グローバル化に反対する意見が強くなる。ドイツでのヒトラー政権誕生は象徴的なものです。

また、国際化・グローバル化が進むと、そのリーダーは誰?ということになる。以前はアメリカ一強でしたが、中国の台頭もあり、その秩序も崩れつつあります。その中での今回のロシアのウクライナ侵攻。状況はまだ不透明ですが、その背景には中国の存在もあり、日本も対岸の火事では無いことが明らかになりました。

ロシアがウクライナに侵攻した背景にはNATOの拡大に対するロシアの強い不満があり、今回の侵攻はその不満が爆発した形です。それを対話や協議では解決できなかったから軍事侵攻を止められなかったのです。

この記事を書いている2/28(月)の時点では、最も強い経済制裁=SWIFTからのロシア排除が、欧米諸国での意見の一致に達したという報道がありますが、そうするとロシアにエネルギー供給を頼っているヨーロッパの国々はエネルギー供給不安が出てくるので、今回は協調できても、今後、自国の経済が窮地に陥った場合はどうなるか分かりません。結局は自国が最優先ですから、反共産主義で一枚岩であり続けることが出来るか?ということも不透明です。アメリカのオバマ政権時に、アメリカは世界の警察であり続けることはできないと表明したことも、その象徴的な考えです。また、世界経済が中国経済に依存を強めていることもあり、中国の動きも無視はできない。

今回のロシアのウクライナ侵攻がどのような形で落ち着かは分かりませんけど、今回の出来事は、世界中が一つになってみんなハッピーという、国際化・グローバル化の、ある意味限界を示した形になります。第三次世界大戦に繋がらないことを本当に心から祈るばかりです。

ただ、今回の出来事に対する世界中の反応、特に政治家だけでなく世界中の一般的な人達の意見がSNSで世界中に瞬時に発信され閲覧される。また、現地ウクライナで起きていることが、SNSで世界中にオンタイムで発信されるから、現地で何が起こっているのか?をそのまま知ることが出来る。戦争は一部の政治家が始めたことであるが、今までうやむやでよく分からなかったことが、世界中に包み隠さず発信されることで、私達のような一般民衆の声も世界中に届けることが出来ます。どう考えても、今回の侵攻が、ウクライナの一部の解放を目的としたものではないことが明らかですから。

今回のウクライナ侵攻は決して対岸の火事ではなく、台湾有事、尖閣諸島問題、日本の中やちょっと先でも起こり得ることが良く分かりました。私だって戦争はもちろん反対ですが、もし自国が急に軍事力で攻められたらどうするのか、憲法改正議論もありますし、日本の安全保障を考えるきっかけになりました。1週間前には想像していなかったことが急に起こる。それは恐怖でしか無いし、日米安保の中でアメリカが本当に守ってくれるのか、そんなことを考えるようになってしまいましたね。