アルマイトの色は本当に難しいです。
弊社の主力製品にアルマイト印刷っていう印刷があります。低コストで消えない金属への印刷。古い技術ですが、今でも現役バリバリです。
使うシーンは主に屋内で使用する機械などに貼る銘板、主に製品の規格を記載した機械銘板です。シールだと心配、やっぱり金属が良い。でも消えてしまうと困る。そんな用途が多いです。
アルマイト印刷は、インクを使った印刷ではなく、言ってみればメッキみたいなもので、アルマイト染色と呼ばれます。アルマイト印刷以外の印刷には、シルク印刷やオフセット印刷がありますが、そのような印刷はインクが金属の表面に盛ってあって焼付で固まっているものです。アルマイト印刷とは、アルミの表面に作られた「被膜」と呼ばれる膜の中の染料で色が染まっているもので、よって、擦過性に優れており、工業製品によく使われております。メリットとして、版がシルクやオフセットに比べて安く、かつ、少量生産に向いております。
このアルマイト印刷、色は黒であることが多いのですが、黒以外のカラー、例えば青、赤、オレンジ、緑など、も可能です。ただし!色の微調整が難しいのです。
なぜか?それは、アルマイトの被膜の厚みによって、色が変わってしまうからです。被膜の厚みって、大体10μくらいですが、アルマイトをかける時間によって被膜の厚みが数μで変わってきます。つまり、被膜が厚ければ、染料が多く入りますから色が濃くなります。逆に被膜が薄ければ、染料の厚みも薄いので色も薄くなる。
また、材料の場所によっても色が変わります。アルマイトの被膜は、アルミに電気を通すことで生成されますが、電極に近い場所、遠い場所で、電気の通り方が変わります。電極に近い方が被膜が厚く生成され色が濃くなり、逆に材料の真ん中の方が色が薄くなります。この場合、淡い色(例えば金色など)だとその違いが顕著に出てしまうんです。
以上のような理由で、色の濃淡はほんの微細な差で出てしまうんです。全然色違う!!ってたまに言われますが、上記のような理由からです。手を抜いているわけではありません(笑)
では管理の問題では?と言われたこともありますが、それは仕事のボリュームに関係しております。その仕事専用のアルマイト槽で、その仕事専用の染料であれば、管理は出来ます。ただ、今の受注状況は多品種少量、毎日、違う種類のものを何十種類と染めていきますので、どうしても色のバラつきは出ます。もし、その管理を徹底して欲しい!!となると、今の価格では到底できなくなってしまいます。
とはいいつつ、、、クレーム入ればやり直ししますが(笑)ただ、上記の状況をご理解して頂くと幸いです。その色指定、実はとっても難しい。インクの調色で調整できる範疇ではありません。奥深いんです、アルマイトって。