差別化は難しくない
差別化する、とよく聞く言葉ですが、自社で普通に行っていることも、結果的に差別化につながっていることがあります。当社で言えば、原稿データ作成です。アドビのillustratorを使っております。当社の社員、私を含めて5人、illustratorを使えます。
ごく普通のことだと思っていたのですが、これが結構差別化につながっています。私の場合で言うと、お客様とのやり取りの中でデータを送って頂ければ、その場で打ち合わせが可能です。電話で、ここが難しいですとか、ここ修正しましょう、とか、ものの数分で済みます。原稿データ作成を専門としている社員もおります。新規の注文が入れば即スタート可能、これも短納期対応に直結します。社内に入っているデジタル設備はすべてillustratorを使いますので、そもそもillustratorが使えないと作業が出来ません。
以前、仲間の会社が弊社と同じデジタルプリンターを入れましたが、ほとんど使っていないと。当社のデジタルプリンターは毎日動いているので信じられなかったです。原因はillustratorを使える人がいないということでした。それでは設備入れても何も出来ません。
私はとにかくスピード命です。原稿データが固まらない限り、次の工程には進めません。データ作成を外注していた頃もありましたが、多品種少量生産が主流の現在、原稿作成の工程を外注していると、まずスタートで出遅れます。小さな修正など日常茶飯事ですから、自社でやっていれば数秒で済こともあります。ただ、これは会社の考え方もあります。大量生産が主流であれば、実際の製作工程に注力した方が良い。当社は少量で多品種が主流ですので自社で原稿データ作成するメリットは大きいです。というか、そこが肝です。
デジタル設備は決して万能ではありません。データ通りプリントしても、カットしても、位置がずれることがあります。これは機械の公差の問題です。当社のお客様は寸法精度が厳しかったりしますので、そのままですと返品です。当社の製造部の社員はillustratorが使えますので、実際印刷されたもののズレを0.1mm単位で調整しています。これも、結果的に差別化につながっているわけです。
私が継いだころ、廃業するかしないかで設備を大量に廃棄してしまったので、そもそもアナログな機械があまりない状態で入社しました。性格上、私は職人ではありませんし、自分に何が出来るかを考えたところ、早い段階でデジタル化を進めようと思ったのです。そのため、入社の条件はillustratorを使えること、としたことも大きいです。
illustratorは最初は難しいですが、慣れてくれば簡単なものです。3次元でもないし、重たくもない。それが使えるか使えないかが差別化につながるとは思っていませんでした。なので、ものすごい精密で100分台の寸法が出せなくても、意外なところで簡単に差別化できることも多いです。
余談ですが、ipadでillustratorが使えるようにならないかな?と常に思っています。特に外出中など、メールでデータ送ってもらってすぐに開けないストレスが大きい。