グローバリゼーションの終わりなのか。
週末にNHKスぺシャルで、ある日本の大手電機メーカーさんの資材調達のお話をやっていました。今、アメリカ対中国の対立の真っ只中。アメリカが中国の覇権奪取を防ぐため、自国の産業保護を目的とした規制を続々と打ち出しており、日本もその真ん中で揺れ動いている、そんな話です。グローバリゼーションの終わりの始まり。
アメリカが特に規制を強化しているのは、半導体を含む先端技術。アメリカはもちろん日本を囲いこむわけだから、日本も無視は出来ません。半導体製造装置の製造でトップを走るオランダと日本に対し、中国との仕事を再考するように求めています。アメリカの対中国への強行姿勢は明らかです。
これって、日本の製造業に対してのインパクトはかなり大きいように思えます。販売先を広げるために、日本メーカーは中国にどんどん売り込んでいる。それが、ある時、出来なくなるかもしれません。今まで中国は、その巨大な市場を背景に、どんどん投資してください、巨大市場で売上伸びますよ!!!ってやってきたわけです。それは世界中にとって、経済的なメリットが大きかった。安く製造できるし、販売先も増えたから。それが、今後はやりづらくなるって話です。日本の製造業、半導体製造装置でどれだけ裾野が広がっているかって、そのインパクトは計り知れない。
大手電機メーカーの資材の方が、今後、経済的な理由だけで調達先を選ぶわけにはいかないって。かなり重い言葉だと思います。
これって世界のグローバリゼーションの流れの中で、重要なターニングポイントかもしれません。昨年始まったウクライナでの戦争で、冷戦構造が再び、、という感じでしたが、アメリカ対中国という明確な対立的構図が生まれると、ブロック経済化が進んでしまうのではと思います。冷戦時はアメリカ対ソ連でしたが、今回はアメリカ対中国。中国は巨大な国。世界各国、どっちにつくべきか、、なんていう構図が出てきますね。
NHKスペシャルの番組の最後に、歴史学者の方々が言っていましたが、世界経済の歴史みると、今のようなことの繰り返しであると。国際化、グローバル化が進むと、ある時期にブロック化に進む。そして戦争が起きる。戦争が終わると勝ち負けがはっきりして、ブロック化から国際化・グローバル化へと。まさに今はその、グローバル化が終わるポイントにいるのかも知れません。
ただし、戦争が起きない限り、グローバル化は形を変えて残るとも、歴史学者の方々は言っておりました。世界全体ではなく、ある程度地域を区切った限定的なグローバル化という形で。この現象は、あーそうなんだ-、世界は大変だね、なんて対岸の火事では済まされないと思っています。特に日本は地政学的に、中国にも物理的に近いし、でも、アメリカとの安全保障の関係があるから、そこは外せません。そんな、大国間の真ん中にいる感じです。
しかも、日本経済は、アメリカと中国との関係を金額ベースで見てみると、もはやアメリカより中国との関係の方が大きいと言われています。だから、アメリカから中国に売っちゃダメだから!って言われても、生活を維持するには中国とのビジネスを維持しないとやっていけません。だから、本当に難しいと思います。
このグローバリゼーションの転換期、物価は世界的に上昇傾向が続くと私は思います。まさに今起きていることだけど、ブロック化進むと、合理性(つまり、安い方が良い)だけで経済が動くわけではないからです。この国通れないから、遠回りしないと配達できない。時間もかかるし燃料費もかさむ。そういうことです。望んでいないことだけど仕方ないです。自分でコントロールできないことだから、その環境で生き残る術を考えないといけませんね。