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昭和の単価

ものすごい昔から流れている製品で、価格がとても安く、現状ではどう考えても採算が取れないものを、私は「昭和の単価」と呼んでいます。そう、あの、大量生産全盛の時の価格が今なお健在してしることがあります。その価格は驚くべき安い価格です。

どうしてそのような価格が出たかと言いますと、もちろん材料費や人件費のことは大きいのですが、私は注文数量の問題かと思っています。以前、10個や100個の注文などありえなく、1000個でも少ないと言われており、万の単位の注文が多かったのではないかと思います。例えば、工賃@5だとしても、10,000個あれば50,000円で、設備や頭を駆使しして、どんだけ早く仕上げるか、儲かる仕事にするかどうかは、本当にその人の腕次第。量産の技術をもっていれば、セットして、放っておけば〇〇万円の売上ってこともありました。つまり、大量生産ではその単価でも十分採算が取れていました

今は、、、万の単位の注文など少なく、100枚なども普通で少量多品種ばかりです。多品種少量で量産価格を設定しても採算は取れません

例えば、プレス1発は数秒です。プレス機に同じ金型を常時付けて、毎日毎日同じ製品を抜いていれば、@5の工賃も間違ってはいないのですが、、、いまや、そんな量は出ない。それより、1日に何種類も違い製品をこなす必要があるので、プレス機を動かす時間より、金型変えるなど段取りの時間の方が多くなります。そうなると、@5は大赤字です。例えば100個注文だと、500円にしかならず、金型セットの時間30分、プレス5分、その後、金型外す+型の掃除25分 つまり1時間で500円です。

上の例は極端な例ですが、たまにビックリするような価格で請け負っている会社はまだいるのです。とういうか、当社でもそのような価格はあります。ごくごく一部ですが。

何か理由があって安くできることもあります。例えば、多数個取り(一発のプレスで何個も抜ける)や、詳しくは書けませんが、デジタルとアナログを融合させたりして、色々工夫はしています。

中にはどうしても採算が取れないものがある。それは、場合によっては見て見ぬフリをします(笑)社長がこういう姿勢が良いか悪いかは別にして(笑)そのお客さんの仕事がたくさんあって、採算の取れない仕事がごく一部であれば私はそのままにしています。でも分かっています、決して見逃してはいませんよ。その注文一つではなく、そのお客様への売上全体をみて判断しています。それはGive and Takeの世界、お互い様です。

ただ、まだ、とんでもない金額で流れている仕事はたくさんありますね。ネットの問い合わせで見積もり競争に負けて、たまに金額を開示して頂けるところありますが、、半値だったり1/3だったり。。。その価格でも適正に利益が出ていれば当社の負けですが、目の前の売上が欲しいがために無理して見積もりを出しているのであれば、そこまで無理をすると、業界全体に影響が出るのではと、心配になります。「今後たくさん注文しますから!」っていう理由で安くしてほしいと言われることがありますが、そういう場合、本当に注文が増えることはほとんどありません、経験上。

近年、下請けに対するチェックが厳しくなり、以前のような無茶な要求は確実に減ってはいます。ただ、個々の会社の状況によりますし、「数字上げろ!」とプレッシャーをかけられている営業マンであれば、無理しても仕事取っちゃうかも知れませんね。私でも、その葛藤は毎日ありますから。ただ、採算合わない仕事を取ると、ほとんどの場合で何かトラブルおきます。見積もりが甘かったというのが原因ですが、仕事が始まってから「聞いていないし」みたいなこともしばしば・・。そう、無理すると、どこかにしわ寄せ来るんですね

私は別に高く見積もっているわけではありません工場ですから、「安い!」って言われることも多いです。そりゃ安いです、うちで作っていますので。それでも勝てない場合は、私はあまり追いかけません。

以前、ある大手のお客様が「うちの外注先、赤字ばっかりだよ」って笑って話してしていて、ゾッとしました、全然笑えない。案の上、高すぎるって仕事にはなりませんでしたが。「他社は送料も取らないよ」って、では配送はどうしているのか。そういう会社がまだあるのかと思いました。結局、倒産してしまえば、最終的にはお客様に迷惑をかけてしまうんです。だから、私はうちの会社がこの先生き残っていけるように値段を決めています。あと、業界全体も考えています、値下げ競争しても良いことありません!零細企業ですが、そこは譲れないです

「適正価格」っていうものは難しいです。でも、でも、無理しちゃいけない。その線引きは、いろんな要素がありますが、社長として「価格設定」だけは間違えちゃいけないところです。