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高収益企業から学ぶ②~短納期で差別化~

私がモデル企業とさせて頂いているエーワン精密様のお話の続きです。高収益の秘訣、それは、ズバリ「短納期」です!

他社が通常納期1週間かけているところを、早ければ当日に出荷

社長様の考えは、取り扱い製品は競合他社がたくさんいる分野で、価格や品質で差別化することが難しい。なので、短納期であれば差別化する余地が残されていたので、とにかく納期を短くすることに注力するようになったそうです。

その納期の短さがお客さんのニーズと合致しました。なぜか?エーワン精密様のお客様は実際に金属の加工を行っている業者様です。コレットチャックという製品は金属を削ったりする加工には必要不可欠で、この部品が無ければ機械が動きません、仕事が止まります。そんな中で注文して、「納期は1週間です」と言われたら絶望です(笑)私も経験あります。待つしかないと言われたら仕方なく、納期遅延の連絡をしたり、調整が大変。

そんな中で「今日出荷できますよ!」と言われたら、本当に心底うれしく、価格は関係なく発注しますね。機械が止まることでの機会損失を考えば、少しくらい高くても買います。Time is moneyとよく言いますが、まさにその通りです。特に切削加工などの設備はとても高額です。なので、出来るだけ稼働させていかなくては利益は出ません。稼働率が上がるのであれが価格より短納期。その製品の価格を他社と比べるより、とにかく早く購入して機械を稼働させた方が得!という考えが背景にはあると思います。

その短納期を可能にする秘訣は大きく二つ。①注文から実際の加工まで、とにかく早いこと②あらかじめの半製品を作っておくこと。

注文から実際の加工までですが、ものの数分です。工場と注文を受ける本社は離れていますが、注文入り次第、すぐに工場に連絡。作業伝票は手書きです。その方が早いから。※すいません、もう昔の話だから今では違うかもしれませんが、私が見学したときは確かに手書き伝票でした。注文入ってから、実際の加工まで数分しかかかりません。

あらかじめ半製品を作っておく。これも短納期の肝でしょう。注文入ってからする作業は最後の仕上げ。7割くらい仕掛のものをあらかじめ作っておき、指定の内径を削る等の最終仕上げで完成品となる。

①と②で注文が入ってから数時間で完成します。ただ、これはすべてマネすることは出来ないかも知れません。取り扱い製品の幅をかなり絞っているから、あらかじめ半製品を作ることが出来るし、工程がより複雑で外注が入るとこのようにはいきません。

でも!根底にある考え方はマネは出来る。ここからは私の推測ですが、本社から工場への伝達、また、作業者への指示は、かなり仕組化されていると思います。どういうルートで注文が流れるか、作業者がぱっと見て作業を始められる伝票の仕組み。つまり、注文から完成まで、そこに関わる人はいちいち考えなくて済む仕組み。また、仕掛品もどこまで加工していくか、仕掛品を最終的に仕上げるまでの社内の流れも徹底的に洗練されていると思います。そうでないと、この利益率は不可能です。

つまり、やっぱり仕事がすーっと流れる仕組みなんだと思います。工場での仕事を見渡していても、本当に加工している時間は何時間でしょうか?実際に機械が動いて製品に付加価値を付けている時間です。段取り替えで時間ロスしていませんか?あーこれ何だっけ?って作業者が手を止めている時間はありあせんか?そのロスを0にすることは難しくても、出来るだけ排除する方法は考えられます。もしかしたら、工具の置き場だったり、伝票の項目だったり、とにかくヒントはたくさん現場にありますよ。その改善を毎日繰り返すことは出来るんです。

この記事では、短納期での差別化と短納期を可能にする秘訣を書きましたが、次回ももう少し深掘りしていきます。続く。