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高収益企業から学ぶ③~短納期がさらに仕事を呼ぶ~

前回の記事では、短納期の秘訣を書きましたが、今回の記事ではもう少し展開します。

短納期=リードタイムの短縮は、それだけで効率化されているので利益率もアップします。でも、それだけではありません。短納期はさらに仕事を呼び込むのです。

前回の記事で紹介した①注文から加工までの早さ、②半製品を作っておく、以外に実はもう一つ秘訣があります。それは「余剰」です。人も機械も少し余剰にしておくこと。70%稼働で利益が出る仕組みが出来上がっているとのこと。これは価格設定にもよりますが、極限まで効率化された仕組みがあるからこそ出来るのです。

この「余剰」がさらなる仕事を呼ぶのです。つまり、本当に無理な短納期の仕事です。余剰があれば、その無理な短納期の仕事でも入っちゃう。無理な納期でお願いするわけだから、価格をどうのこうの言っている次元ではない。とにかく今欲しい!のだから、出来る業者に注文するしかないのです。

エーワン精密様の価格が高いのか安いのか、私の業界とは違うので分かりませんが、前回の記事で書いた機会損失のことを考えれば、お客さんは納期優先、価格は二の次になります。私が思うに、この余剰から取れる仕事こそ、高収益な秘訣なのではと思います。

コレットチャックという製品は他の会社でも加工が出来るので、競合がたくさんいる。でも、それに「今日出来る」「明日出来る」という超短納期の付加価値を付けることで、他社がまねできない領域に達するのです。そうなると、価格の勝負ではなくなるのです。製品と納期の組み合わせでのオンリーワンです。

蛇足ですが、決算報告書見る限り、固定負債がありません。見学の時にも見ましたが、加工機がずらっと並んでいます。この加工機、全部、自分のお金で買っています。借り入れなし。つまり、儲かったお金で次の投資、次の投資、という流れです。借り入れしてドカンと最新鋭の設備を並べるという表面的な見せ方では全くない。本当に見習うべき姿。

このように着実に高収益を生んでいる会社を見ると本当に勇気が出ます。メディア等で取り上げられるのは、例えば売上が5年で10倍になったとか、世界でこの会社しかないオンリーワン技術とか、この職人で無いと出来ない加工とか、やはり分かりやい部分に目が行きやすいです。でも私が知りたいのは、本当に事業はうまく行っていますか?利益出てますか?借り入れして派手に着飾っているのではないですか?なんて部分なんです。リアルに儲かってますか?(笑)という部分です。

大手の企業と取引をして、多額の借り入れで設備を導入して、売上が何倍にもなって、高級車を何台も買って、注目を一瞬浴びても、その後、坂道を転げ落ちるように倒産、っていうニュースを見ると、本当にモチベーションが下がってしまいます。その後、一文無しから何十億まで復活!なんてドラマは見ていて面白いとは思わない。そんな復活劇出来るのは、0.001%くらいだと思います。それよりか、エーワン精密様のように着実に高収益を出している企業を見ると、本当にモチベーションが上がるのです。俺もやってみよう!と思います。

このシリーズはまだまだ続けます。次回は「不況時の過ごし方」です。続く。