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ステンレスは固い

当たり前の話なのですが(笑)ステンレスは固いです。最近、ステンレスの注文が増えておりますが、加工を続けていくと、色々と問題が発生します。

理由は、ステンレスは固いからです(笑)本当に当たり前ですが、毎日加工を続けていくと、アルミや真鍮などとの違いをはっきりと感じます。それは、せん断抵抗(kgf/mm2)という数字で表されます。素材を打ち抜く場合の抵抗力=固さです。

【せん断抵抗(kgf/mm2)】
※ステンレス:52~56(kgf/mm2
※黄銅:35~40(kgf/mm2
※アルミ(硬質):13~18(kgf/mm2

つまり、アルミと比べてステンレスを打ち抜く場合、約4倍の力が必要になります。

うちでは色々な種類の材質を取り扱っており、本当は避けるべきですが、同じ径の型を共通で使用することがあり、その場合、ステンレスを大量に加工すると不具合が必ず出ます。

不具合として型の先端が丸まってしまうことが多く、受ける側のダイの穴が広がってしまうのです。相当な力で抜くわけですから、ピンとダイが微妙にずれ、そのうち型がかじります。そうなると、勝手にクリアランス(ピンとダイの間のすき間)が広がってしまい、スパッと抜けないのです。引っ張られるように穴があくので、横から見ると山のように盛り上がってしまいます。

シャーリングの刃もダメージを受けます。刃がこぼれる訳ではありませんが切れが悪くなる。なのでうちは定期的に刃を研いでもらっていますが頻度は毎年上がっているように思えます。

金属加工で100分台、1000分台の精密加工を行っている会社さんから見れば、そんなこと当たり前すぎますが、銘板はほとんどの場合、外観を重視するので、工具の摩耗などは目をつぶることが多いのです。図面通りの寸法で穴があけば良いし、仮にバリが出てもヤスリで削れば取れます。また穴が多少盛り上がってもビスで留めると隠れてしまいます。

そういう感覚でいたのですが、ここまでステンレスの仕事が増えてくると、やはり加工上の摩耗などにも気を付けるべき。今まで丸まったパンチでバリを出しながら穴をあけ、バリ取りで苦労しているのであれば、そもそもバリ取りしないで良い方法を考えるべきという考えになりました。幸いにも、パンチやダイは既製品で安く簡単に買えるのですから。それが工程の時短や品質の向上につながるってわけです。今更ながら、その重要性を感じます。