利便性は誰かの犠牲で成り立っている
昨年でしたっけ、楽天の送料無料の方針=送料は基本的に出店しているお店の負担で賄う、そんな話が出て、結局、猛反発が出てそのお話は消えましたが・・・。お店側からすれば、いきなり負担が増す訳で賛同を得るのは難しいのは当たり前です。
コロナ禍でDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速して、ネットでの販売が急速に増えていて、ユーザーにとっては利便性が増すばかりです。以前記事にした工場でも使える便利なネット通販の話もありますが、当日出荷など、驚くほどの利便性です。
でも、その裏には誰かが犠牲になっていることを忘れてはならないのです。一番分かりやすい例は配送業者さんです。軽自動車で夜遅くまで配達しており、届け先が不在が多く、再配達の問題は今でも解決してはおりません。(※Amazonなどは置き配も増えてきましたが。)
うちの場合、出荷は宅配便がほとんどですので、ヤマト運輸さんや佐川急便さんのドライバーと毎日顔を合わせますが、本当に今は大変とのこと。Amazonのスーパーセール、楽天のセール、またそれに加えメルカリなど個人の配送も激増。年末や期末など、明らかにキャパオーバーに見えます。時間指定に遅れる、誤配する、などなど。あの激務を見ていると責められません。私たちの利便性はこのような犠牲でなりなっているのです。
それ以外の犠牲でいうと、有名なネット通販サイトに製品を提供している業者さんです。以前、某有名通販サイトと取引のある会社の方とお話をしたことがありますが、「欠品が絶対NG」・「納期遅れ絶対NG」というお話。働き方改革が叫ばれる今はどのような取引形態になっているかは分かりませんが、基本的にGW・お盆は無いそうです。プレイベートを犠牲にして、その通販サイトさんへ製品を卸しているとのこと。また、部品一個でも納期遅れそうな場合は、遠方でも、飛行機使ってでも、届けなくてはなりません。
売るだけではなく、デリバリー、サプライヤー、モノやサービスを提供するプレイヤーたちのメリットを考える、もしくは、ネット通販の会社自体でその負担を担うなど、トータルで考えていかないとこのビジネスモデルは破綻します。(Amazonなどは飛行機を購入したそうで、ロジスティクスを自社で賄うような動きもあります。)
楽天の送料無料の方針の話が出た時、うちはどちらかというとお店側の気持ちになってしまうので、そんなこと勝手に決められたら本当に困ると思いました、正直。ここに出店させてあげるから、ルールは全部従ってください、のような物凄い上から目線を感じたのも事実です。利益出てるんであれば、負担してくださいよ、って思うのが当たり前ですよね。何なら、自社で配送は全部賄うのでどんどん売ってください!って言われた方が俄然やる気にはなりますが。
ユーザー目線・消費者重視、それはよく分かっていますが、何でも提供者の方が犠牲になるというのは間違いです。続きませんから。そして、そのサプライヤーたちもユーザーであることを忘れてはなりません。