トラブった時の下請け会社の気持ち
うちで発生するトラブルは大きく2つに分けられます。数字=つまり寸法公差、主観=見た目 この2つに分けられます。数字上のトラブルとは、つまり、寸法が図面の公差内に入っていないことで起きる不良です。主観=見た目はキズや汚れ、また、思っていたのと違うという個人個人での判断です。
寸法不良の原因は簡単です。公差内に入っていないのですから、シロとクロ、完璧に分けられます。もっというと、公差の上限か下限かでも、不良ではないけど、寸法傾向という形で指摘されます。この傾向ですが、作っている側から見ると公差内だから良いじゃないか?という判断になり、ユーザーから見ると今後不良が出そうだから言っておく、という判断になります。どちらにせよ、数字で出るので反論のしようもありません。(※言いたいけどガマンします。)
主観=外観というのが一番難しいのです。特にゴミの許容範囲の問題もあります。使い用途にもよりますけど。超高級品に貼る銘板はゴミ一つ許されませんが、クリア塗装などの仕様の場合はゴミ0は不可です。絶対何かしら入ります。だから、絶対ゴミ不可ということであれば、クリア塗装なしにするなどしております。もしくはゴミが目立たない艶消し塗装など。大体トラブルになるのは、今まで良かったのに、気になると全部ダメになる場合。うちは検査基準は変えていないので、言う時は言います。全部うちの負担でやり直す訳にも行きませんので。でも、そういうトラブルは稀ですけど。
一番難しいのは、色の違いです。私は何度も何度も何度も何度も言いますが、特にアルマイト染色の場合、色はバラツキます。染めているので、少しでも長く染めれば濃くなるし、時間を短くすると薄くなります。紙ではなくアルミという金属なので、色差が余計に目立つのです。これを希望通りに合わすのは至難の技です。一回であれば合わせますが、2回目・3回目・・・となると合わすのが難しいのです。季節にもよりますけど。
濃淡もですが、もっと難しいのは、赤っぽい、青っぽい、黄色っぽい、など、超微妙な色差です。グレーが一番難しいです。特にデジタル印刷。CMYKのちょっとした差で色が全然変わります。特に淡い色。気が遠くなるほど難しいです。が、うちはギリギリまで色調整します。多少の誤差はご勘弁ください。
主観の部分の判断は非常に難しいのです。極端な例でいうと、文字の一部が欠けてもOKという人もいれば、0.1mmのピンホールもNGという人もいます。外観検査ほどグレーゾーンの判断が難しいものはありません。今までOKだったのに、何で?ということもあります。最近は言っちゃいますけど。前回は良かったのに、なんで今回はダメですか?って。
弊社も常に完璧なものを納品したいのですが、完全良品をロス0で提供するのは難しいのです。クレームがあった場合は都度判断ですが、こちらの意見も今は言うようにしております。そうでないと、回を重ねるごとに検査が厳しくなるからです。一つ言いたいのは、手抜きしているわけではないのです。全部検査しておりますから。良いものを出来るだけ選別して納品しているのです。これは分かって頂きたいです。
なので、何か不具合が出た場合、対策を出すように指示されますが、それを受け取ると、少し無力感というか寂しい気持ちになるのです。正直、うちはトラブルは少ない方だと思います。以前特定のお客様の監査を受けましたが、数千件の注文で納期遅れはゼロ、良品率99.7%でした。たまたま間違いが重なってしまい監査を受けましたし、下請けの中での監査の順番的なものもありますが、0.3%の部分を責められ過ぎると、99.7%まで否定された気分になります。世の社長さん、よく分かりますよね?(笑)そうなると全部否定された気分になりますから。手抜きしていますね?って見られた気分になるんです。いや、手抜きしていませんから。手抜きすればもっと不良でますし。さっきの例でいうと、いつもの頑張りで99.7%はうまくいって、0.3%見逃しちゃったんです。申し訳ないと思いますが、年に数件は間違い出てしまいます。
とは言いつつ、今は分業体制の時代。みなさまはご自分のお仕事をやられているだけ、それも良く分かりますが。トラブった時の下請け会社の気持ちを吐露させて頂きました。今日は金曜日、早いですね、一週間お疲れ様でした。