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FRB量的緩和終了 でも、日本は物価が上がらない

今日はFRBの量的緩和の終了のニュースが入ってきました。コロナ後の金融緩和と財政出動で、アメリカの物価は6%を超える状況。急激なインフレになっており、それに歯止めをかけるための金融政策です。緩和終了と聞くと株価は下がるんではと思いましたが、今日は逆に株価は上がりましたね。インフレへの不安が和らいだということでしょうか。

日本も最近は色んなものが値上がりしております。消費材も生産材も、どの分野でも値上がりが起きております。日本は資源を輸入しておりますので、円安がそのような値上げの要因になっているといえるでしょう。悪い物価高です。ただ、日本もこんなに金融緩和していても物価は上がりません。

で、その議論でよく出る話は、日本は給料が上がらないという議論。先進国の中で実質給与額が上がっていないのは日本だけとのこと。その理由は企業が社員達への給料を上げずに内部留保に回しているなんて話がありますが、そもそも売上が上がらないと社員達の給料も上がるはずがありません。継続的な投資をするには、やはり自己資本を厚めに持っていないと出来ませんから、安易に給与に回すという議論は危険だと思います。

なんで売上が上がらないのか?それは量も増えないのも要因かと思いますが、価格を上げられないことが一番の要因かと思います。自分の生活、また、商売をしていて感じることは、価格を上げることが本当に難しいということです。外食の例で言うと、松屋が牛丼を30円値上げしたら、客数が1.8%下がったとのこと。価格弾力性というか、たった30円でお客が離れてしまえば従業員への給与を上げることも出来ません。

失われた10年とか20年とか言いますけど、日本がずっとやってきたこと、それは価格を下げるということです。「コストダウン」「安さ」が美徳になり過ぎてしまったのではないでしょうか。牛丼の話で言えば、他社が値段上げなければお客さんはそっちへ移る、消耗戦です。それをいつまでも続けていれば、業界全体が儲からない体質になってしまいます。

私達の製造業も同じで、ずーっと、値段を下げることばっかりです。値段を安くして他社から仕事を取る。その価格で利益はでますか?安易な価格競争は消耗戦になって自滅しますから。だから、私達が出来ることは、その中でも利益を確保できる価格設定にするっていうことです。長期的な目で見ると、大企業から見ても、私達のような下請け企業が安定経営出来るのであれば、供給の安定性は保たれます。人口減少で小回りの利くサプライヤーが減っていますから、供給の安定性は仕事を出す側から見てもメリットあるのではないでしょうか。一過性のコストダウンよりも、長期的な利益につながると思います。

でも、価格競争の原因は実は私達のような業者自身であるとも言えます。頼んでないのに破格の金額を出す。他社に取られたくないから勝手に安くする、など。それは安易すぎるのです。いつまでも値下げを要求する大企業ばかりを批判するのではなく、私達も努力していかないといけません。そうしないと、社員達の給料だって上げられない。そう思っております。